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Myojoジュニア大賞という戦場について

皆さんはMyojoという雑誌を知っているだろうか。

そしてジュニア大賞を知っているだろうか。

これはジャニーズのなかでもジュニアというCDデビューしていない*1メンバーを応援しているヲタクの主戦場であり、金と労力で敵を殴ることができる唯一の方法である。

今日はこのジュニア大賞のなんたるかと、参加するヲタクたちについて語っていく。

 

 

ジュニア大賞について

ジュニア大賞とは、集英社が出版している月間アイドル雑誌Myojoの企画の一つである。大賞の名のごとく、読者による投票によってランキングを決める企画となっており、投票先はジュニア、つまりデビューしていないメンツに限られている。

投票できるランキングは全部で50種類ほどであり、中には投票先が高校生以下のジュニアに限定されているものある。たとえば、「友だちにしたい」ランキングではどのメンバーでも投票可能だが、「クラスで集合写真を撮るとき前で寝っ転がってそう」ランキングでは高校生以下のジュニアにしか投票できない、といった具合だ。

これはモデルプレスがNEXTブレイク俳優の枠を25歳以下のように設定しているのと同じで、次世代となる無所属ジュニア(とそのヲタク)のために用意されていると思われる。

 

投票は12月号と1月号(1冊730~780円)に付属する投票用紙を用いる*2。ジャンプのキャラクター人気投票と同じような仕組みと思って欲しい。またヲタクの間では手書きが推奨されており、全50にも及ぶ部門の投票先とその理由欄をすべて記載する必要がある。1枚投票用紙を埋めるのに最低でも5分程度はかかると思って欲しい。

そしてそれを封筒にいれ切手を貼り、集英社私書箱へ郵送する。それが集英社によって開封・カウントされ、最終的な結果が4月号で公開されるのが全体の流れだ。

 

 

ジュニア大賞の歴史とジンクスについて

ジュニア大賞の歴史は長く、1995年の開始以来多くのヲタクを狂わせてきた。

というのはジュニア大賞の有名なジンクスにある。それは‟「恋人にしたい」Jrランキングで1位を獲るとデビューできる”というものである。実際過去にこのランキングで1位になったものは(1名の退所者を除いて)全員デビューしており、その事実がジンクスを信仰先たらしめている。

 

 

投票するヲタクの心理について

ジンクスを100%信じているわけではないが、自分の推しをデビューさせたいヲタクはこの「恋人にしたい」ランキングの1位をなんとしても自分の推しに獲らせようと努力する。

また、1位と同じグループに所属していれば一緒にデビューできるということから、自分の推しでなくても推しが所属するグループのメンバーを何としてでも1位にしたい勢力も存在する。よって各グループのヲタク同士の団体戦になっているのが昨今の現状である。

 

もう一つこの争いを加速させる要素の一つが、普段の応援形態にある。ジャニーズには公的に金で殴り合う(スパチャ額の合計、トレカの交換レート等)、というシステムがあまり存在しない。誰がどれくらい人気かという指標は公開されておらず、推し量る材料も少ない。特に未デビューのジュニアはCDの売上枚数など目に見える指標がないため、ジュニア大賞のように結果が公開される投票システムで結果(数字)をつくりたいというヲタクの熱が表れやすくなっていると考えられる。

 

 

ジュニア大賞での戦い方について

ファンダムとして

前項で述べたが、最近では応援しているグループのファンダム内で強く連携をとることが求められている。

例えばAグループのファンダムが5万人。Bグループのファンダムが3万人だとする。

Aグループは各メンバに平等にヲタクがおり、1番人気メンバα君のファンが1万人。一方Bグループの一番人気メンバβ君は、グループ内で突出してファンが多く1.5万人であるとする。すべてのファンが投票するとなると、グループとして人気なのはAグループであるのに、β君がランキング1位になるという事態が発生する。

そうなると面白くないのはAグループのファンダムである。そのためAグループのα君以外を推しているヲタクも自分の推しへの投票を諦めα君に票を集める作戦をとるようになる。

このような流れから、多くのグループのファンダムが事前に投票先のすり合わせを行うようになってきた。約50部門全てに対して投票先を決め、グループのファン内で投票がばらつかないように調整するのだ。その統制役の並々ならぬ労力と事前準備のコストから、この大賞にかけるヲタクの熱量がうかがえるだろう。

すり合わせがうまくいっているファンダムでは、投票数のバラつきがないため多くの部門の1位を獲得することができる。2023年度のジュニア大賞ではとある1グループの所属メンバで全44部門*3中42部門の1位を独占する結果となり、ファンダムの強い団結力が実を結んだ。

ファンダム内でのすり合わせに始まり、記載の励まし合い、全国の書店の在庫状況共有、投票の記載をサポートする便利ツールの供給がすべてボランティアで行われていることを鑑みると、ヲタクの愛がとてつもないものだということは強く述べておきたい。

 

個人として

ファンダムによって投票先が決定しても、実際に投票するのは個人の作業になる。投票は1人1票まで、と公式にはなっているが厳密に守っているのは少数であろう。

つまり多くのヲタクがMyojoの12月号、1月号を複数冊買い集め、投票用紙を切りぬき、50以上の投票先とその理由を記載し、あて先を書いた封筒にいれ郵送している。大きな声で言えるものではないが、過去には2000冊分投票した猛者(TravisJapan宮近海斗くんのヲタク)もおり、単純計算で150万以上かけていることになる。これはレアケース(と思いたい)が、これに近い額と途方もない労力を使っているヲタクが何人もいるのである。

買うだけなら簡単*4だが、期限の決まっている中でこの作業をするのは非常に骨が折れる作業であり肉体的にも精神的にも非常につらいものである。私は夢の中ででも投票用紙を埋めていた。また幅も重みもある雑誌を大量に家の中で管理するのもきつい。なんども心が折れそうになる。

さらに悪いことに、他のグループのファンに投票数が漏れないように細心の注意を払うことが求められている。なのでSNSに1000冊買った~!など迂闊に書き込めないし、辛い、何枚書いた、なども載せられない。なのでどれだけ頑張って投票したとしてもそれをアピールする場がないのだ。

これは推し活している様子を当たり前に公開して承認欲を満たすヲタクには非常につらいことである。自分との戦いでもあるのだ。

 

 

結果発表について

雑誌の電子化が進んだため、発売日の0時には結果が出回る。恋人にしたいランキングで1位をとれたヲタクは狂喜乱舞し、1年を快適に過ごせる権利を得る。なにか嫌なことがあっても、一番金使えるヲタクが多いのはうちの推しですけど?とドヤれるからだ。

また書店では発売日より前に納品されるため、書店に勤めているヲタクが発売日より前に結果のページをこそこそ写真に納め、SNSに投下するモラルも法律もぶっちぎる最低の文化がある。(本当によくない)

他のランキングでは5~10位までしか結果が公開されないが、恋人にしたいランキングはジンクスのおかげで30位まで公開される。これをもとに投票数と敵陣営の勢力が予想され、次年度の投票数の目標値設定に生かすのだ。戦いはデビューまで永遠に続いていく。

 

 

ヲタクの血で書かれたジュニア大賞の結果が見れるのはこちら。

今年の投票数は約15万票、票数分だけでも売上高は1億を超えます。

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*1:ふぉ~ゆ~、あくたれ枠を除く

*2:厳密には投票用紙についている券の部分、投票用紙のコピーにこの券を貼り付けても有効票となる

*3:高校生以下の枠を除く

*4:冊数が多くなると1ヶ月前から書店に大量注文するので手間は増える、冊数の上限がある場合もあり