声を大にして言うが、歯列矯正は現代日本で唯一後ろ指差されない見た目を変える方法、言わば整形である。
未だ整形にマイナスイメージが伴う現代、歯並びを綺麗にすることだけはなぜか許されている。美容整形とは一線を画す、小さい子から大人まで受けられる顔面を整える施術、それが歯列矯正である。
経験から言えば、悩むくらいならやった方がいい。1秒でも早く開始してほしい。その後の人生のクオリティが変わる。本当に。医療ローン組んでも分割払いでも絶対に早めにやっておくべき。 ということで今回は私の矯正遍歴を前編で、おすすめの矯正と歯医者については後編でお話ししたい。
1.矯正遍歴
① ワイヤー矯正1
私の矯正人生の始まりはここである。初手の歯医者選びを間違えこの後10年以上歯への課金が続くことになる訳で、本当にこの歯医者早く潰れて欲しい。 小学生になり永久歯が生え始め、出っ歯状態だったわたしを両親が心配して矯正をはじめさせてくれた。ワイヤー矯正である。そういえば幼少期のおしゃぶり使用頻度が高いと出っ歯になるとか何とか。
歯に装着をつけ、数ヶ月に一度歯医者に赴きワイヤーの長さと強度を変えていくのがこの矯正のやり方である。また、意味があったかはわからないが、行く度にかわいい乳歯を抜かれた。根本が1cm以上残っている乳歯が手元にたくさんある。痛かった。
しかしこのワイヤー矯正は突然終わりを迎える。ある日、歯につけていたワイヤーの土台が外れ、その拍子にワイヤーを一部噛みちぎってしまった。 歯医者に行くとワイヤーを変えて土台を付け直せばいいはずなのに、全部装置をはずされ「ワイヤーつらいでしょ?新しい矯正試そっか?」と言われた。寝耳に水。
② デンタルマウスピース(マイオブレース)矯正
ワイヤーを全部外され、その日から謎の硬いシリコンのようなものを渡された。デンタルマウスピースというらしい。(調べたらマイオブレースでした。)上下が繋がったマウスピースの肉厚シリコン版だと思って欲しい。個人用に調節されたサイズなどではなくAmazonで売っているような、ただのゴムである。
夜寝る時にシリコンを口に咥える、と言うのが使い方らしいがこれがまあ痛い。すごく歯が出ているので前歯にかかるテンションが大きすぎて、齢10歳が毎晩我慢できる痛みを超えていた。あと出っ歯すぎて加えると口が閉じられない。
それに噛み具合によってテンションかかる部分が変わるので細かい矯正治療なんてできるわけがない、上の前歯に合わせて下の歯がなんか出てきた気がする。そもそもこのアイテムは顎が出来上がる前に正しい舌位置、鼻呼吸を癖にして、正しい歯並びへの成長を導くための器具らしい。つまり、顎の成長が始まる前からつけるべきものである。うん、もうむりだね、永久歯全部生えちゃってるからね。
またこのシリコンがめちゃくちゃ臭かった。咥えたら毒だろと言う味がする。臭い痛い逆効果のダブルパンチ。ゴミ。 いろんな種類の硬さのシリコンを買わされていたのだそれなりに金はかかった。一個4000円〜10000円で買わされていた。すごぉい!商売上手!精神的苦痛+肉体的苦痛に加えいい効果を感じないので止めた。
③ インビザライン(マウスピース矯正)
中学に上がって矯正を再開することにした私は、当時ほとんど聞かなかったマウスピース矯正をやらされた。人体実験か? ちなみに歯はめちゃくちゃ出ているのでマウスピースでどうこうなるレベルではなかったと思う。ガチャついてるとかじゃなくて歯にスプラッシュマウンテンついてるわけだから、あのペラペラのプラスチックでどうにかなるわけがないのだ。
マウスピース矯正、通称インビザラインの方法は、現在の歯の状態から理想の状態まで歯が動く過程を作成し、その理想にたどり着くまでの軌跡の断面をマウスピースとして複数出力する。そしてそれを付け替えていき、理想の形まで少しずつ動かしていくというものである。コルセットどんどん小さいものに変えていくことで肋骨の幅を少しずつ狭くする感じをイメージしてもらえるとわかりやすいかもしれない。
要するにマウスピース一段階につき歯は少ししか動かせないわけだが、私の歯はスプラッシュマウンテンなのである。スプラッシュマウンテンをちょっとずつ動かして更地にするにはすごい長~~~~い過程が必要になるわけで、たぶんマウスピースが上下合わせて50~100個くらい必要なはずだった。1個つくるのに約1万。お分かりいただけるだろうか。マウスピース矯正がお手頃という医者はヤブか金の計算ができないアホである。
ちなみにこの歯医者は、いつ矯正が終わるのかという質問の回答を濁し続けた。つけてもつけても終わりが見えなかった。たぶん歯医者側も見えてない。終わりが見えないものに毎月金を払うのは無理ということでマウスピース矯正は辞めた。見切り発車すな。
正直、マウスピース矯正はおすすめできない。まず着用したら普通にはしゃべれないし、曇るし、異物感で唾液が溢れてなんかねちゃねちゃする。目立たないと広告が打たれているが、外から見て100%わかる。毎日付けて生活するなんて困難である。 図書館に行って黙って本を読んで帰ってくる(飲まず食わず)くらいの日常を毎日送っている人ならできるかもしれないが、それ以外の場合は口から出したり付け直したりが必要になる。私生活でのストレスがすごい。 そもそもテンションがワイヤーに比べてしょぼすぎるため、弱い痛みが続くうえ、20h/日以上使うことが推奨されている。無理。毎日20時間キリで自分の太ももを突き刺し続けることができる人ならば大丈夫かもしれないが、よほどのことでない限りやめた方が良い。
④ ワイヤー矯正2
無認定医が諸悪の根源と気づかなかった両親と私の従順さによって、同じ歯医者でのワイヤー矯正(2回目)が始まった。 軒並み生えそろった永久歯は全体的に大きくて口から溢れていたし、前歯の角度は泣く子も黙る滑り台の如く迫り出し、新成田国際空港のようにV字に離れていた。今までの矯正とはなんだったのか?金ドブか。
素直にワイヤーをつけること数年。今度は噛み切ることはなかったので、とりあえず歯は並んだ。ちいさい口に歯を詰め込むため、歯幅を大分削ったがとりあえず並んだことには並んだ。例えるなら満員電車状態である。閉じるが、ギッチリ。見た目は一粒一粒がみちみちのとうもろこし。そして歯並びしか治してないのでアデノイド顔はそのままである。 そのあとリテーナー(後戻り防止装着)をするも秒速で後戻りした。すごいぞ私の歯。因みにリテーナは壊れた。ママが怒る訳だ〜。ちなみにママには壊したと勘違いされて怒られ、これ以上あなたの歯には投資しませんと言われた、ここまででこの歯医者支払ったドブ金は約280万なわけだからね。しゃーなし。
⑤ ワイヤー矯正3
時間と金を歯に溶かしてきたわけだが、20歳近くなり、いよいよ容姿が気になる。まだ歯が出ているのだ。 もう親は頼れないので、わたしとりあえずGoogle先生に ”矯正 おすすめ 歯医者” と問いかけた。するとGoogle先生は歯列矯正には歯医者免許とは別に、日本矯正歯科学会が認めた「認定医・臨床指導医」というものがあることを教えてくれた。矯正治療に関して適切かつ十分な学識と経験を有する者を認定しているらしい。
そこでやっといままで通っていた近所の歯医者が無認定で矯正をやっていたことを知った(遅い)
おいおいふざけんなということで、認定医かつ臨床指導医がいる歯医者に行くことを決意。ちなみに初回カウンセリングが半年待ちくらいで死ぬかと思ったけど、当時大学生で無限に時間があったため「キャンセルとか出たらすぐ教えてください絶対行くので」といって2ヶ月後くらいにねじ込めた。ハッピー。
そして初めてのまともなカウンセリングを体験した。診断がすごく緻密で、ありとあらゆる顔面の長さを測られた、こんなの初めて…(トゥンク)。そしてカウンセリングの当日に治療費、治療期間、治療方法を伝えられbeforeafterのイメージ3DCGまで見せてもらった。え…今までの歯医者ってほんとに何だったの…?認定医半端ない…。 そのときに院長先生から「ワイヤー矯正がいいね。大丈夫だよ、ちゃんと美しくなるからね」と言われた、本当に涙がでるかと思った。ずっとつらかったコンプレックスやっと解消できるんだって救われた気持ちになった。
他の医者のカウンセリング周ってもいいよ〜でもうち学割あるから20%引きしてあげられるよ!ということで当日即決した。100万定価の学割効いて80万。ワイヤーを2年、リテーナーを1年で完了とのこと。お年玉などをかき集めて即全額現金払いした。我ながら男前である。
すぐに器具をつけ、慣れ親しんだワイヤー生活が開始した。この歯科での器具は歯につける部分は透明で意外と目立たなかった。前のワイヤー矯正では全部金属パーツで、白いパーツにしようとすると追加料金って言われてたのだ。ホスピタリティの高低差で耳キーンですわ。 毎月一回行ってクリーニングとワイヤー交換、たまに歯型取りしたり、レントゲンしたり、骨にピン打ち込んだり、経過写真撮ったりした。口が小さいので抜歯が必要だったが、抜歯自体は矯正専門医ということでやっておらず、他の歯医者を紹介された。素晴らしきアウトソーシング。
ちなみに毎月の料金は基本のクリーニング料とプラスアルファ特別なことした時だけだった気がする。込み込み80万だったのだ。また単にワイヤー矯正といっても患者の歯の状態によって治療法はさまざまであり、この歯医者を紹介した友人の受けた施術とは差異もあった、さすがだ…でもその人も80万だったと言っていた。
で、何やかんやで矯正完了。無事最強のEラインを手に入れた!なんたって顔と頭蓋骨のバランスをみてトータルで美しくなるように緻密に計算された最強のEラインである。脱アデノイド顔。本当にすごい。まじで矯正する前と後の顔が本当に別人。昔の写真見て、よくこれで生きてたな…と思うくらい。骨格レベルで美しくなる。さすが審美歯科。もう一生愛してる。矯正で人生変わりました(マジ)、歯並びの悩みを抱えてる全人類は金をかき集めて矯正専門医のいる歯医者に行け。分割払いもあるぞ。
2 余談
①ワイヤーの異性受け
ちなみにワイヤーつけてても普通にモテたし(抵抗ある人はいるでしょうが)、フェラチオも余裕です!全然痛くないそうです!みんな安心してね。むかつくちんこは「いーっ」ってした状態で押し付ければすりおろせるんで武器にもなります(?) あと矯正歯科は富の象徴でもあると思うんで、そういう面でもいいと思います。
②就活への影響
あとワイヤーしてる時期と就活も思いっきり被ったんですけど、内定いっぱいもらえたので矯正してるから落とそうとかはないはずです。もしビジュアル採用のCAとかBAとかサイバ◯エ◯ジェントとか目指しているなら、もうすぐ矯正終わります!とか適当なこと言ったけば大丈夫なはず。しらんけど。(ちなみに私は一回も聞かれませんでした。歯並び治すと清潔感出るよね。
前編は以上です、後編には「矯正の種類」「いい矯正歯科の見つけ方」を書きたいと思います。↓